【 高校数学 Ⅱ 】三角関数② 弧度法

弧度法の定義

角の大きさの新しい表し方を導入します。

度数法

これまでは1周を360°と定義し、それを基準に角の大きさを表してきました。

高校数学II_三角関数2_弧度法_図1
これを「度数法」といいます。
しかし、度数法は慣習的なものであり、使い勝手がよくありません。

弧度法

度数法より扱いやすい表し方を導入します。
ここで役に立つのが、「円の弧の長さ」です。
円の中心角の大きさと弧の長さは比例します。

高校数学II_三角関数2_弧度法_図2

この性質を利用し、角の大きさを弧の長さで表します。

しかし、ここで1つ問題があります。
弧の長さは半径にも比例します。
そのため角の大きさが同じでも、半径が異なると弧の長さも異なってしまいます。

高校数学II_三角関数2_弧度法_図3

そこで半径を1と指定し、半径1の円の弧の長さで角の大きさを表すこととします。

高校数学II_三角関数2_弧度法_図4

この角の表し方を「弧度法」といいます。
単位は「ラジアン」または「弧度」を用いますが、通常、弧度法の単位は省略されます。

例えば半径1,中心角360°(つまり円)の弧の長さは2πであるため、
360° = 2π ラジアン
となります。

高校数学II_三角関数2_弧度法_図5

代表的な角を度数法と弧度法で表すと、以下のようになります。

度数法 90° 180° 360°
弧度法 0 π/2 π

特に180° = π は覚えやすいため,頭に入れておくとよいでしょう。

高校数学II_三角関数2_弧度法_図6

 

 

扇形の弧の長さと面積

弧度法を用いて、扇形の弧の長さと面積を与える式を導きます。
考え方は度数法のときと同じです。

半径がr,中心角がθの扇形の弧の長さをl,面積をSとします。

 

高校数学II_三角関数2_弧度法_図7

弧の長さ

円(中心角 = 2π)のときの弧の長さは2πrです。
したがって、中心角がθのときの弧の長さlは
l = 2πr × θ/2π = rθ・・・①
となります。

高校数学II_三角関数2_弧度法_図8

面積

円(中心角 = 2π)のときの面積はπr2です。
したがって、中心角がθのときの面積Sは
S = πr2 × θ/2π = r2θ/2・・・②
となります。

高校数学II_三角関数2_弧度法_図9

また、①,②から
S = rl/2・・・③
が成り立ちます。

①,②,③は公式として覚えるまでもないと思います。

まとめ

  • 半径1の円の弧の長さを用いて角の大きさを表す方法を、弧度法という。
  • 180° = πラジアンを覚えておくとよい。
  • 扇形の弧の長さ、面積は度数法のときと同じ考え方で導き出せる。

問題

問1

次の角を弧度法で表せ。
(1)30°
(2)-300°

問2

次の角を度数法で表せ。
(1)2π/3
(2)-5π/12

問3

次の扇形の弧の長さと面積を求めよ。
半径が7,中心角が2π/5

問1

半径1の円の弧の長さを求めればよいです。

(1)2π×1×30°/360° = π/6

高校数学II_三角関数2_弧度法_図10

(2)2π×1×(-300°)/360° = -5π/3

高校数学II_三角関数2_弧度法_図11

180° = πを覚えていれば、より早く解けます。

(1)π×30°/180° = π/6
(2)π×(-300°)/360° = -5π/3

問2

半径1の円の、弧の長さに対応する角を求めればよいです。

(1)
1周(360°)の弧の長さは2πです。

高校数学II_三角関数2_弧度法_図5

したがって、弧の長さが2π/3のときの中心角は
360°×(2π/3)/2π = 120°

高校数学II_三角関数2_弧度法_図12

(2)
1周(360°)の弧の長さは2πです。

高校数学II_三角関数2_弧度法_図5

したがって、弧の長さが-5π/12のときの中心角は
360°×(-5π/12)/2π = -75°

高校数学II_三角関数2_弧度法_図13

180° = πを覚えていれば、より早く解けます。

(1)2π/3×180°/π = 120°
(2)-5π/12×180°/π = -75°

問3

半径が7,中心角が2π/5の扇形の弧の長さをl,面積をSとすると、
l = 2π×7×(2π/5)/2π = 14π/5
S = π×72×(2π/5)/2π = 49π/5

高校数学II_三角関数2_弧度法_図14

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