共通テスト 2022年度 数学ⅠA 第1問[3]の解き方を解説します。
目次
手順1:問題文を通して読む
問題を解く前に、問題文を通して読みましょう。
手順2:文脈を理解し、解き方を予想する
問題文の流れを理解し、解き方を予想しましょう。
【問題文】
(1)
\(AB=5,\, AC=4\)とする。このとき
\(\displaystyle sin\angle{ABC}=\frac{(ソ)}{(タ)},\, AD=\frac{(チツ)}{(テ)}\)
である。
【予想】
まずは図を描く。
外接円の半径と三角形の辺の長さから、三角比を求める。
→ 正弦定理を使う。
ADは\(AD=ABsin\angle{ABC}\)で求められる。
【問題文】
(2)
2辺AB, ACの長さの間に\(2AB+AC=14\)の関係があるとする。
このとき、ABの長さのとり得る値の範囲は\((ト)≦ AB≦(ナ)\)であり
\(\displaystyle AD=\frac{(ニヌ)}{(ネ)}AB^2+\frac{(ノ)}{(ハ)}AB\)
と表せる
【予想】
- 外接円の半径が3
- \(2AB+AC=14\)
この2つの条件で、ABの取りうる値の範囲を考える。
ADは(1)を参考に求める。
【問題文】
(2)つづき
ADの長さの最大値は(ヒ)である。
【予想】
- ABの範囲が決められている。
- ADがABの2次式で表されている。
→ グラフを描けばADの最大値を求められる。
手順3:問題を解く
【問題文】
(1)
\(AB=5,\, AC=4\)とする。このとき
\(\displaystyle sin\angle{ABC}=\frac{(ソ)}{(タ)},\, AD=\frac{(チツ)}{(テ)}\)
である。
外接円の半径と三角形の辺の長さから、三角比を求める。
→ 正弦定理を使う。
外接円の半径をrとすると、
\(AC=2rsin\angle{ABC}\)
ゆえに
\(\displaystyle sin\angle{ABC}=\frac{AC}{2r}=\frac{4}{2\times3}=\frac{2}{3}\) ••• ソタ
図を描く → 与えられた条件から解法を考える。
また、
\(\displaystyle AD=ABsin\angle{ABC}=5\times\frac{2}{3}=\frac{10}{3}\) ••• チツテ
三角定理を知っていれば解ける。
【問題文】
(2)
2辺AB, ACの長さの間に\(2AB+AC=14\)の関係があるとする。
このとき、ABの長さのとり得る値の範囲は\((ト)≦ AB≦(ナ)\)であり
\(\displaystyle AD=\frac{(ニヌ)}{(ネ)}AB^2+\frac{(ノ)}{(ハ)}AB\)
と表せる
条件1:外接円の半径が3
条件2:\(2AB+AC=14\)
この2つの条件において、ABの取りうる値の範囲を考える。
まず条件1について、外接円の半径が3のため、AB、ACともに直径の6より大きくなれない。
また、当然AB、ACともに0より大きくなければならない。
よって
\(0<AB≦6\) … ①
かつ
\(0<AC≦6\) … ②
式②と条件2を合わせる。
\(2AB+AC=14\)より
\(AC=14-2AB\) … ③
これを式②に代入、変形すると
\(0<AC≦6\)
\(0<14-2AB≦6\)
\(4≦AB<7\)
これと式①より、ABの取りうる値の範囲は
\(4≦AB≦6\) ••• トナ
条件を式で表す。
ADの長さを求める。
(1)でADの長さを求めたため、同じ手順で計算すれば良い。
①正弦定理によりsin∠ABCを求め、②三角比によりADを求める。
外接円の半径をrとすると、正弦定理より
\(AC=2rsin\angle{ABC}\)
ゆえに
\(\displaystyle sin\angle{ABC}=\frac{AC}{2r}\)
この式に\(AC=14-2AB\) と\(r=3\)を代入すると
\(\displaystyle sin\angle{ABC}=\frac{AC}{2r}=\frac{14-2AB}{2\times3}=\frac{7-AB}{3}\) ••• ④
次に三角比の定義より\(AD=ABsin\angle{ABC}\)
これに式④を代入すると、
\(\displaystyle AD=ABsin\angle{ABC}=AB\times\frac{7-AB}{3}=\frac{-1}{3}AB^2+\frac{7}{3}AB\) •••⑤
••• ニヌネノハ
解く前に問題文を通して読むことで、前問がヒントになっていることに気づける。
【問題文】
(2)つづき
ADの長さの最大値は(ヒ)である。
2次式の最大値を求めるには、グラフを使う。
式⑤を変形すると
\(\begin{eqnarray}
\displaystyle
AD&=&\frac{-1}{3}AB^2+\frac{7}{3}AB \\
&=&-\frac{1}{3}(AB^2-7AB) \\
&=&-\frac{1}{3}\left\{\left(AB-\frac{7}{2}\right)^2-\left(\frac{7}{2}\right)^2\right\} \\
&=&-\frac{1}{3}\left(AB-\frac{7}{2}\right)^2+\frac{49}{12} ••• 式⑥
\end{eqnarray}\)
ゆえに、この2次式のグラフは上に凸、最大点は\(\left(\frac{7}{2}, \frac{49}{12}\right)\)である。
したがって、\(4≦AB≦6\)の範囲では、ADは \(AB=4\)のときに
最大となる。
式⑥に\(AB=4\)を代入すると
\(\displaystyle AD=-\frac{1}{3}\left(AB-\frac{7}{2}\right)^2+\frac{49}{12}=-\frac{1}{3}\left(4-\frac{7}{2}\right)^2+\frac{49}{12}=4\) ••• ヒ
2次式の最大値を求めるには、式を変形してグラフを描く。