共通テスト 2022年度 数学ⅠA 第2問[1]の解き方を解説します。
目次
手順1:問題文を通して読む
問題を解く前に、問題文を1つを通して読みましょう。
手順2:文脈を理解し、解き方を予想する
問題文の流れを理解し、解き方を予想しましょう。
【問題文】
(1)
\(p=4, q=-4\)のとき、\(n=\)(ア)である。
また、\(p=1, q=-2\)のとき、\(n=\)(イ)である。
【予想】
代入すれば解ける。
【問題文】
(2)
\(p=-6\)のとき、\(n=3\)になる場合を考える。
〜花子と太郎の会話〜
\(n=3\)となるqの値は\(q=\)(ウ), (エ)である。
【予想】
花子と太郎の会話がヒントになっている。
会話中の”これ以外”とはどのような場合か、(1)を参考に考える。
【問題文】
(3)
③のグラフの移動の様子を示すと(オ)となり、④のグラフの移動の様子を示すと(カ)となる。
【予想】
式を変形してグラフを描く。qを変化させて極小点の動きを確認する。
【問題文】
(4)
\(x\in{A}\)は、\(x\in{B}\)であるための(キ)。
\(x\in{B}\)は、\(x\in\bar{A}\)であるための(ク)。
【予想】
(3)のグラフを使う。
第2問の構成をまとめると、以下のようになっている。
(1)具体例
↓ヒント
(2)qの値を求める。
(3)式をグラフ化したときの動き
↓ヒント
(4)グラフを動かしたときに、式を満たすxの範囲を求める。
手順3:問題を解く
【問題文】
(1)
\(p=4, q=-4\)のとき、\(n=\)(ア)である。
また、\(p=1, q=-2\)のとき、\(n=\)(イ)である。
\(p=4, q=-4\)のとき、式①、②は以下のようになる。
\(x^2+4x-4=0\) ••• ①
\(x^2-4x+4=0\) ••• ②
式①を解くと
\(\displaystyle x = \frac{- 4\pm\sqrt{4^2-4\times1\times(-4)}}{2}= \frac{- 4\pm\sqrt{32}}{2}= \frac{- 4\pm4\sqrt{2}}{2}=- 2\pm2\sqrt{2}\)
式②を解くと
\((x-2)^2=0\) より \(x=2\)
よって、\(n=3\) ••• ア
\(p=1, q=-2\)のとき、式①、②は以下のようになる。
\(x^2+x-2=0\) ••• ①
\(x^2-2x+1=0\) ••• ②
式①を解くと
\((x+2)(x-1)=0\) より \(x=-2,\,1\)
式②を解くと
\((x-1)^2=0\) より \(x=1\)
よって、\(n=2\) ••• イ
代入して解くだけ。
【問題文】
(2)
\(p=-6\)のとき、\(n=3\)になる場合を考える。
〜花子と太郎の会話〜
\(n=3\)となるqの値は\(q=\)(ウ), (エ)である。
点線の四角で囲まれたヒントにしたがう。
式①と②をともに満たす実数をaとすると、
\(a^2-6a+q=0\) ••• ①
\(a^2+qa-6=0\) ••• ②
が成り立つ。①−②により\(a^2\)を消去すると、
\((-6-q)a+(q+6)=0\)
これを変形すると
\((-a+1)(q+6)=0\)
ゆえに \(a=1\) または \(q=-6\) のとき、\(n=3\)となる可能性がある。
\(a=1\) の場合、式①より
\(1^2-6\times1+q=0\)
これを解くと
\(q=5\)
このとき、式①は
\(x^2-6x+5=0\)
であり、これを解くと
\((x-1)(x-5)=0\)より\(x=1,\,5\)
また、式②は
\(x^2+5x-6=0\)
であり、これを解くと
\((x+6)(x-1)=0\) より \(x=-6,\,1\)
となり、確かに\(n=3\)となっている。
また、\(q=-6\)の場合、式①と②ともに
\(x^2-6x-6=0\)
となる。この解は
\(\displaystyle x = \frac{6\pm\sqrt{6^2-4\times1\times6}}{2}= \frac{6\pm\sqrt{12}}{2}=3\pm\sqrt{3}\)
となり、\(n=2\)であるため不適である。
\(q=5\) 以外に\(n=3\)となる場合を考える。
(1)を参考にすると、\(p=4, \,q=-4\)のとき、式②に重解が存在するため\(n=3\) であった。
また、\(p=1, \,q=-2\)のとき、式②に重解が存在し、かつ式①と②に共通の解が存在するため、\(n=2\)であった。
これらから、以下の場合に\(n=3\)となることがわかる。
式①の解をs1, s2、式②の解をt1, t2とすると、
● パターンA
式①の解:s1, s2
式②の解:t1, t2
\(s_1=t_1\)
つまり、式①と②で同じ解が1つ存在し、かつ式①と②が重解を持たない場合
● パターンB
式①の解:\(s_1 = s_2 \)
式②の解:t1, t2
または
式①の解:s1, s2
式②の解:\(t_1 = t_2 \)
つまり、式①または②が重解を持ち、かつ式①と②で同じ解が存在しない場合
パターンAでは既に \(q=5\) と求められているため、パターンBについて考える。
式①が重解を持つ場合、判別式が0であるため
\((-6)^2-4\times1\times q=0\) より \(q=9\)
このとき、式①は \(x^2-6x+9=0\) であり、これを解くと \((x-3)^2=0\) より\(x=3\)
また式②は \(x^2+9x-6=0\) であり、これを解くと\(\displaystyle x = \frac{-9\pm\sqrt{9^2-4\times1\times(-6)}}{2}= \frac{-9\pm\sqrt{105}}{2}\)
確かに\(n=3\)となる。
また、式②が重解を持つ場合、判別式が0であるため\(q^2-4\times(-6)=0\) つまり \(q^2+24=0\) となるが、これを満たす実数は存在しない。
よって、\(n=3\)となるqの値は\(q=5, 9\) ••• ウエ
解く前に問題文を通して読むことで、前問がヒントになっていることに気づける。
【問題文】
(3)
③のグラフの移動の様子を示すと(オ)となり、④のグラフの移動の様子を示すと(カ)となる。
式③と④を変形し、極小点の動きを確かめる。
式③を変形すると
\(y=x^2-6x+q=(x-3)^2+q-9\)
ゆえに、③のグラフの極小点は \((3,\,q-9)\) である。
qの値を1から増加させると、極小点のx座標は一定でありy座標は増加する。
よって、グラフ全体は上方に動く。(選択肢⑥)••• オ
式④を変形すると
\(\displaystyle y=x^2+qx-6=\left(x+\frac{q}{2}\right)^2-\frac{q^2}{4}-6\)
ゆえに、④のグラフの極小点は\(\displaystyle \left(-\frac{q}{2},\,\frac{q^2}{4}-6\right)\)である。
qの値を1から増加させると、極小点のx座標もy座標も減少する。
よって、グラフ全体は左下方に動く。(選択肢①)••• カ
式を変形して極小点の座標を求める。
【問題文】
(4)
\(x\in{A}\)は、\(x\in{B}\)であるための(キ)。
\(x\in{B}\)は、\(x\in\bar{A}\)であるための(ク)。
2次式の範囲が与えられた場合、グラフで考える。
(3)からも、グラフを用いることが予想できる。
また、具体的な数値を入れてみて情報を得る。
\(5<q<9\) であるため、\(q=5,\,q=9\) の場合をそれぞれグラフ化する。
(2)の考察から、式③と④のグラフは以下のようになる。
ゆえに、部分集合A、Bは以下の通りである。
また(3)の考察より、qが増加すると③のグラフは上方、④のグラフは左下方に動く。
ゆえに、部分集合AとBが重なることはない。
設問「\(x\in{A}\)は、\(x\in{B}\)であるための(キ)」について考える。
「\(x\in{A}\)」と「\(x\in{B}\)」の関係について考えると、「\(x\in{A}\)ならば\(x\in{B}\)」も
「\(x\in{B}\)ならば\(x\in{A}\)」も偽である。
よって、\(x\in{A}\)は、\(x\in{B}\)であるための必要条件でも十分条件でもない。(選択肢③)••• キ
設問「\(x\in{B}\)は、\(x\in\overline{A}\)であるための(ク)」について考える。
「\(x\in{B}\)」と「\(x\in\overline{A}\)」の関係について考えると、
「\(x\in{B}\)ならば\(x\in\overline{A}\)」は真であり、
「\(x\in\overline{A}\)ならば\(x\in{B}\)」は偽である。
よって、\(x\in{B}\)は、\(x\in\overline{A}\)であるための十分条件であるが、必要条件ではない。(選択肢①)…ク
2次式の範囲はグラフで考える。
具体的な数値を入れて情報を得る。
解く前に問題文を通して読むことで、前問がヒントになっていることに気づける。
[…] 第2問 〔1〕 〔2〕 […]
[…] 第2問 〔1〕 〔2〕 […]